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2012.02.11

由紀さおりサンのこと。

Photo昨年末以来、由紀さおりさんが欧米でウケているという話題をメディアが報じているのが気になっていたのだが、たまたまNHK-TVの「SONGS」という番組でそのニューヨーク・ライヴの様子を放映していたので興味深く観た。
ワタシは由紀サンのファンでも何でもないが、歌謡曲や童謡のイメージが強かった彼女が12人編成のバンド“Pink Martini”をバックにステージで唄うセルジオ・メンデスの「マジュ・ケ・ナダ」やピーター・ポール&マリーがヒットさせた「パフ」の日本語歌唱を聴いてみると、想像以上に素晴らしく、素直に感動してしまった。 ベタに言うと「巧くて美しい歌」なのだ。
バックバンドのサウンドとノリに“場末感”のような雰囲気が漂っているのが少し気になったが、由紀サンは低めの音程の歌も安定感良くキレイにまとめ上げているうえ、ステージでの存在感も堂々としており、司会が「日本のバーバラ・ストライザンド」と紹介していたのもあながちお世辞ではないと思った。 最初は普通に聴いていた観客も徐々に盛り上がり、中盤からは大声援。 とくに日本語歌唱が彼らに“刺さった”らしく、そのウケ方は半端でない様子だった。
1953ワタシは、由紀さおりサンの歌がニューヨークの聴衆に大受けなのを見て、ふと今から約60年前の東京は銀座・日本劇場で行なわれたジャズ・コンサート「J.A.T.P.イン・トーキョー ライヴ・アット・ザ・ニチゲキ1953」を思い出した。
戦後の混乱からまだ充分に抜け出していなかったはずの昭和28年の日本での実況録音。 アメリカから来たベン・ウェブスターやオスカー・ピーターソン、レイ・ブラウンといった大御所の演奏に会場は大いに盛り上がり、その後ついに登場するエラ・フィッツジェラルドにトドメを刺される。 洋楽、とくに最新のジャズに飢えていたであろう多くの日本の聴衆は、彼女の歌唱に酔いしれ、大声援を送る。 古くて貧弱な音質だが、この音源をヘッドフォンで聴いていると、ホンモノの音楽に飢えて、心から感動している当時の日本人の熱い思いがまさにライヴで伝わってくる。
60年後のニューヨーク。 今度はベテラン日本人シンガーが、かつての日劇とほぼ同じ大きさのホールを満たしたアメリカ人聴衆の大歓声の中に立っている。 不安定な世情を反映してか、“ホンモノ”に対する希求は東西古今を問わない、ということなのだろう。

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