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2011.03.05

お座敷で、江戸落語。

Photo浅草の割烹料理屋さん「細井」で毎月開催される「浅草で江戸遊び」。その名のとおり、舞踊や落語、お茶や投扇興といった江戸で流行ったお遊びを座敷で楽しむという優雅なイベント。 今回は古典落語が掛かるということでお招きをいただいきお邪魔した。 「細井」のある浅草・象潟(きさかた)というエリアは江戸時代から割烹や小料理店が建ち並ぶ場所だったそうで、今もその粋な風情が色濃く漂っている。 もともと江戸落語はこうしたお座敷で少人数の客を集めて演じられることが多かったというから、場所といいスタイルといい、まさにお江戸情緒そのままの趣向だ。
この日高座に上がったのは桂才紫(かつらさいし)さん。 二ツ目の元気な噺家さんだ。 演目は江戸の古典噺『井戸の茶碗』。
クズ屋の清兵衛を仲立ちに、千代田と高木という武士の間で行き来する仏像と茶碗の売買を通じて、その値がつり上がっていく様を、面白おかしい遣り取りで描写する古典落語。 才紫さんは愛すべき登場人物のキャラクターを活写しつつ、勢いよくきれいに演じきっていたように思う。
この『井戸の茶碗』という噺は、そのモチーフが京都の落語『はてなの茶碗』に似ているが、その面白みは、江戸時代の庶民と武士との心の交流。 特権階級の武士が市井の庶民に対してそのプライドを掛けて発するセリフが、落語という大衆芸能の中で鮮やかに活き、江戸文化の厚みとともに、当時の日本人のおおらかさをリアルに伝えているように思う。
同じテーマの古典落語でワタシの好きな『宿屋仇』。 米朝さんや枝雀さんの録音でさんざん聴いてきたこのお話しでも、旅の三人衆と偶然宿屋で居合わせた侍、そしてその仲を取り持つ番頭で主人公の伊八サンとの掛け合いが絶妙の面白さを放っている。
江戸時代の京や江戸で育った落語は、とくにその後期では武家社会の衰退とともに元気な庶民の文化として開花した演芸だが、登場人物の遣り取りもそのような時代背景を写すように、侍と庶民という身分違いでありながらもお互いの個性のぶつかり合いが発する微笑ましい場面の連続が、こうした噺の味わいのように感ずる。
Photo_2口演がおわり和装から着替えた桂才紫さん。 3月7日(月)に「お江戸日本橋亭」で開かれる落語会『たなおろしの会』のチラシと一緒にカメラに納まってくれた。

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