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2010.09.05

浅草で、江戸遊び。

6投扇興(とうせんきょう)。 今から二百数十年前江戸の中後期に流行ったと言われる、日本の古いお遊びだ。 その名のとおり、扇を投げて「蝶」と呼ばれる鈴のついた小さな的を落とし、その扇と的の着地の様子を点数化し競うという優雅な対戦ゲーム。 明治期に入ってからは一時廃れた時期もあったらしいが、昨今の“和流”回帰ムードも手伝って、この投扇興を楽しむ人が増えてきたらしい。
1ヶ月前に開催した写真展へ来場いただいた方に、この投扇興をされている方がおられ、月に一回、浅草の割烹で、この“江戸遊び”を愉しむ会を催しているとのご案内をいただき、参加させていただいた。
場所は東京・浅草四丁目の「細井」。 その昔「象潟町(さきかたまち)」と言った浅草の奥座敷ゾーンにある釜めしや焼き鳥の名店だ。

3_2この投扇興、ルールは至ってシンプル。木製の台に置いた的目掛けて扇を投げ、その「蝶」を落とすだけ。だが、扇はそれ自体翼そのものの“飛行体”であるため、投げると言うよりフワリと飛ばし、的のチョウチョを“触れて落とす”という感覚だ。 実際にチャレンジしてみると、高々1.5mほど先の的を目掛けるだけなのに、思うようには真っ直ぐになんか飛ばず、結構難儀する。

優雅なのは、扇とチョウチョといった道具立てだけではなく、その二つの“落ち具合”のバリエーションに対し、その難易度に伴う点数とともに、源氏物語54帖の巻名がついていることだ。
蝶をかすめず失敗した場合は「手習(てならい)の無点」、蝶に当たり普通に落とすことができたときは「花散里(はなちるさと)の一点」という具合。 難度が上がり、例えば落ちた扇の上に蝶が乗ったカタチで納まると「夕顔の五点」、蝶が台の上で倒れ、扇が台に寄り掛かるカタチになると「常夏の七点」、さらには蝶が下に落ちるも立った状態で着地すると「早蕨(さわらび)で十点」などなど。
これらキマリ手を行司さんが瞬時に判定し、対戦相手と5回ずつ投げて、その合計点を競うという格好だ。

2_2ワタシはこの投扇興に、対戦ゲームでありながら、勝ち負けそのものよりも、技の決まり方と座の会話を愉しむ洒落っ気にくわえ、身近のモノを使ってスグお遊びにしてしてしまう日本人の茶目っ気をつよく感じた。
そして、小さいころ、団地の広場でワルガキが集まり、缶蹴りと称してサバの空き缶ひとつで夕暮れまで何時間もホットになって遊んだシーンを思い出してしまった。

投扇興をご案内いただいた大島歌織さん、そして一緒に遊んでくださった皆さま、ありがとうございました。(写真右が指南役の大島さん)

47十三点の「初音」と「投扇興点式繪圖」。“キマリ手”にチョウチョの印が押される。

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