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2010.04.17

歌川広重の、スゴ味。

PhotoPhoto_2最近、歌川広重の浮世絵に惹かれている。特に、広重がその晩年に制作した作品集「名所江戸百景」は、幕末の江戸の風物を活写した、実に美しく楽しい浮世絵作品集だ。
感動のポイントは二つ。ひとつは、今から約150年ほど前の江戸・東京が息を呑むほど素晴らしい“庭園都市” であったこと。そして、ふたつ目が、そんな江戸の風物を捉えた広重の絵心が実に“写真的”であることだ。
全118枚の図絵の右肩には、普段慣れ親しんでいる東京各所の地名が記されていて、描かれた場所は、今もそこに立ち、広重と同じ目線で眺めることができる。もちろん、コンクリート建造物で地平線までも埋め尽くされたメガロポリスの今の様子に重ねることのできる場面は、極く限られる。面白いのは、景観は建物を中心に激変したものの、あまり変わらない通りの様子や街を往く人の流れを見て取れることだ。

例えばこの2点。上は時たまぶらつくことのある上野広小路。そして下はその近くの湯島天神を描いた広重の浮世絵。今ほぼ同じ場所に立ち広重目線で眺めると、上野広小路には江戸時代からの老舗「松坂屋」は今も同じ屋号とマークでその場所に店を構えており、火除けの広場として15世紀頃に設置された「下谷廣小路」の繁華な様子は、ある意味殆ど当時のまま。
また、菅原道真公を祀る湯島天神も、江戸から変わらない学業の“パワースポット”。海抜22mの当時の展望の名所も、今では三菱の元祖・岩崎弥太郎邸跡に建つ巨大アパートに遮られて不忍池は望むことができないものの、この天満宮を訪れる人の様子は、おそらく当時とあまり変わらないのだろう。

Photo_5Photo_6

一方、広重の“写真家”目線。全て縦位置で構成された絵はことごとく大胆かつ絶妙なバランスを保つ。35㎜カメラでたとえると85㎜ほどの中望遠レンズで捉えていながら、近距離から無限遠にまでピントの合ったパンフォーカスな画像。しかも主題を極端にクローズアップしたり、遠慮のない俯瞰による斬新な視点は、まさに写真構図のお手本だ。

ところで、浮世絵の「浮世」は「憂き世」が語源だとか。広重の手により描かれた絶品の浮世絵を眺めていると、今の“憂き世”を吹き飛ばすような、新しいチカラを与えてくれる。

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コメント

歌川廣重

 安藤広重と記憶していたけど、画家としては歌川広重が正確なんやね。知りませんでした。

 彼の浮世絵のアングルを探して旅に出るのも楽しみですね。斬新な構図・広重ブルー・抒情感・静寂・人間味・躍動感・・・等々全てが満ち溢れた作品ばかり。

 素晴らしい天才が日本の市井におられたのです、それが、驚きです。

投稿: jo | 2010.04.19 20:10

joさん。

コメントありがとうございます!

本当に広重の構図の素晴らしさには驚かされます。
西洋の巨匠たちが模写したのも、頷けます。
そして凄いと思うのは、そんな画が、とめどなく大量に描かれたこと。

“メディア”の発達していなかった時代に、
あのようなインパクトある画を次から次に創作するパワーの源泉は
なんだったのでしょうか。興味は尽きません。

zap

投稿: zap | 2010.04.19 22:10

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