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2009.03.15

消える、夜行列車。

Photo週末の13日夕方。仕事を終わらせ新橋での友人との宴会へ向かうため京浜東北線に乗っていた時のこと。電車が浜松町駅で停車していたちょうどその時、並走する東海道線の下り線路を長い汽笛を鳴らしながら列車が通り過ぎて行った。この『ひほー!』という懐かしい響きのこの汽笛こそ、東京発九州行きのブルートレイン「富士・はやぶさ」のラスト・ランを牽引するEF66電気機関車のそれだった。
3月14日のダイヤ改正で東京駅発着のブルートレインは完全に姿を消すこととなった。“鉄分”の如何にかかわらず、鉄道ファンにとってブルートレインと言えば特別の憧れをもって親しんできた存在だ。ワタシも小さいころ、父の郷里である長崎へ家族と旅する折、東京駅で佐世保行きの「さくら」に乗り込むときは、何だか王侯貴族のお坊っちゃまにでもなったかのような錯覚にとらわれ興奮したのを思い出す。
新幹線が発達し、遠地へは航空機利用が当たり前になったいま、在来線の長距離夜行特急が毎日運行されていること自体、ある意味不思議に感じていた。とくに、民営化されてからのJRでは採算性が優先されるだろうから、乗客が少なくなった列車運行を取りやめるのは時流の定めだろう。しかし、それでもブルートレインの運行をここまでやめずにいたのは、少ないながらも根強いファンでもある利用客がいたことと、一時代を築いた寝台夜行特急列車に対するレールマンとしての強固なプライドが息づいていたからではないだろうか。

Photo_2出発前の夜行列車が停まる駅のホームは、明日からの旅のワクワク感とともに、これから闇夜を疾走する列車特有のうら寂しさが渾然と漂う不思議な空間だ。が、この13日のブルトレ最後の雄姿を見届けに3000人ものファンが押し寄せた東京駅ホームは、そんな“旅愁”とはかけ離れたたいへんな送別会だったことを、翌日の朝刊は伝えていた。
世の合理化が進むなか、「夜行列車」がまた姿を消した。鉄道マンのプライドやファンの憧れだけでは存続できるものではないとわかっているものの、格別の趣を持っていたブルートレインが姿を消したのは寂しい限りだ。偶然に聞いた最後の長い汽笛の音が耳に残る。

C56■写真は1971年8月。新宿から小海線・野辺山へ直通運行していた夜行列車『八ヶ岳高原号』の新宿駅でのスナップ。小淵沢からは蒸気機関車C56が牽く高原列車に。リュックを背負った山男や鉄道マニアに大人気でした。

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