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2008.02.11

ねにもつタイプ。

Photo床屋の順番待ちで何気なく眺めていた週刊文春。最近このテの雑誌も読まなくなったナ、と思いつつ週刊誌によくある対談のページをそれとなく読んでいると、岸本佐知子さんという翻訳家が登場していた。この人の名前は知らなかったし、ましてや翻訳本などとんと縁がないのだが、この岸本さんが書いたエッセイのことを紹介しているくだりを読んで、思わず読んでみたくなった。散髪で寒くなったアタマに震えながら家へ帰り、忘れないうちにとパソコン立ち上げネットで注文したその本は『ねにもつタイプ』。ちなみに今年度の講談社エッセイ賞を受賞している。

雑誌「ちくま」に連載のショートエッセイをまとめたものという各短編のテーマ・設定はある意味日常的なものばかりだ。が、展開とオチが恐ろしくシュール。そして独特のドライヴ感は最近流行りの新作落語風。翻訳家の書くエッセイ、ということで気になって読んだ訳だが、まさに翻訳機が勝手に暴走している風情だ。世の中の事象、現象を自分の理解に取り込むための「翻訳」を試みて、ことごとく失敗している、と言うと言い過ぎか。いや、わざと“失敗”してみてココロは相当遊んでいる。周りのすべての事象の翻訳時に起こる不整合に素直に立ち向かうことで、結果的に訳の判らない、でも面白さ無限大の“翻訳”文ができていく。そんな、翻訳家ならではの言葉の転がし方が面白い。

9784480814845久々におかしい本を読んだ。「おかしい」を漢字で書くと「可笑しい」と「奇怪しい」。そのどちらも当てはまるエッセイ。そして、内容のおかしさにも増して、書き手のヒトとしての面白さをダイレクトに感じた収穫本。クラフト・エヴィング商會の挿画も奇怪しさを際立たせている。
読み終え思わずbk-1で岸本さんのもう一冊のエッセイ『気になる部分』を注文してしまった。
ついでに、本はそのタイトルで売れる売れないのスジが決まるようにも思った。

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コメント

ロープウエイ風呂

 それ、ホンマの話どすか?

温泉宿の露天風呂から裸で乗車して秋は紅葉、冬は雪景色、春は桜を眺めながら風呂につかる。

 通勤電車でもあると便利やね、朝風呂を通勤途中で済ませる事が出来ますね。

投稿: jo | 2008.02.12 07:02

zapさん、こんばんは。
「くちま」ではなくて「ちくま」ですね。揚げ足取りで恐れ入りますが。
「ちくま」は定期購読していますが、奈良美智さんが表紙に描く少女の絵を、娘がなぜか「春菊」と呼んで愛惜厭わないもので、岸本佐知子さんの連載「ネにもつタイプ」(なぜか「ネ」は片仮名になっています)はつい、読み流しておしまい、になっていました。
本になったものは、「気になる部分」を先に読んじまったのですが、「星に願いを」という章なんぞ、あまりのおかしさに、嫁さんに読んで聞かせたら、30分ぐらい笑い転げていました。笑い転げるだけでなく、「石のありか」なんか、自分がかつて子供だったことを片時も忘れていない人なんではなかろうか、と思ったことでした。「トモダチ」の、点滅信号を送ってよこした見知らぬ友(?)の話とか、娘の「春菊」ではないけれど、愛惜厭わざる話がたくさん、ありました。

投稿: 赤壁周庵 | 2008.02.13 21:30

joさん。
ロープウェイ風呂。いかにもありそうですよね。よく考えたらあるワケない。でもあってはいけない訳でもない。。この方の文章は、そんなスレスレのことばかりが、沢山出てくるところが凄いです。山手線の銭湯車輛、なんてね。

赤壁周庵さん。
「くちま」はないですよね。ご指摘、どうもです。
そうでしたか。ワタシも「星に願いを」を通勤の山手線でちょうど読んでいて、混んだ電車で吹き出すのを堪えるのが嫌なので、途中で本をしまってしまいました。新書の活字読んで大笑い、という光景自体オカシイですよね。

投稿: zap | 2008.02.14 00:35

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