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2007.07.28

大阪老舗居酒屋、二題。

Photo前週に引き続きイベントの仕事で大阪へ。一泊二日出張となったこともあり、初日の晩は同地に居る仕事仲間であり噺家のS君の案内で、やはり仕事仲間であり宣伝部ボスのY君と共に、鼎談宴会ツアー・イン・大阪、と相成った。大阪ではちょうど梅雨の明けた日。日本人にとっては年越しの次に区切り感のある暑い夜でもあったことで、味わい深くも、熱く楽しい晩だった。

大阪エリアを熟知、とりわけ酒呑みスポットについての同地の深奥隅々を知るS君は、出張でやって来た二人の東京モンを、観光客が好んで入るような繁華街の宴会店に連れて行くような無粋なことはしない。地元の生活者、のなかでも呑みの世界で未だ“青い”連中がナカナカ近寄れないような風情と歴史ある店のハシゴを演出してくれた。

Photo_2一軒目の『明治屋』は、天王寺・阿倍野筋で昭和13年から営業をしているという老舗居酒屋。風格のある「屋治明屋酒」と書かれた看板をくぐれば、明治ならぬ昭和初期のモダンで瀟洒な空間が広がっている。恐らくは内装や調度の多くは、開業当時のまま70年もの間親しまれてきたものだろう。未だ日の落ちない夕刻だったにも関わらず、狭くない店内はほぼ満席。しかも静か。この店には、あたかも客人のテンションやらボリュームを自動的に抑止するような“気”が発せられているかのようで、満員にも関わらず皆粛々と酒肴を楽しんでいるのが、店のレトロな雰囲気と相俟って、新鮮だった。ハウス清酒で「松竹海老(しょうちくえび)」という聞き慣れない銘柄酒をはじめ、素朴で良心的なツマミは悉く美味だった。

Photo_3ほろ酔い二軒目は難波楽座にあるおでん店『白蓮』(びゃくれん)。ここは、明治屋の歴史には及ばないものの、やはり4~50年は経っていようかという老舗。間口の広い店には、木製の引き戸のついた入り口三カ所が開け放たれている。真夏の夜の大阪で冷房の効いていないカウンターで熱いおでんを突つくという偏屈もここでは何故か快い。
関西で食すおでんと言えば、関東のそれとは違い薄味かと思いきや、白蓮の出汁はどちらかと言うと東京風だ。しかも、ネタのひとつ一つが大柄で出汁とともに美味。堪能できた。
この店は明治屋同様TVの喧騒とも無縁だ。女将サンの声と外を行き来する人の足音を聞きながら、ゆったりと静かな呑みの時間を楽しめる。

串カツやら焼き肉でワイガヤ、というのが大阪宴会の定番イメージだが、今回のS君セレクトは、その対極にある静かで大人の風情を放つ酒呑み空間。成熟した大阪の街の、別の顔つきに出会えた出張の夜だった。

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コメント

浪速の宴会

 鱧、煮込み、塩辛、茄子の漬物、ホンマ酒飲みが選びそうな肴やね。

大阪は今は暑いやろね。

投稿: jo | 2007.07.28 20:30

joさん。
『はも』は東京ではあまり見掛けませんね。淡白で歯応えあって冷酒によく合います。天神祭の日だったため、街中に浴衣の若者が歩いていました。曜日より日にち優先、というのが面白いです。

投稿: zap | 2007.07.29 12:28

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