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2006.12.24

世を去り、仕事を残したひとたち。

一年を振り返るとき、今年世を去った人のことをじっくり想い返してみる、などということはこれまであまりなかったように思う。いわゆる有名人に限らず、今年死去した何人かの人へのワタシなりの想いを巡らしてみた。

青島幸男さん。つい先週の12月20日の訃報には正直驚いた。無論、それなりに年配の方なので、マサカとは思わない。しかし、同氏の若い頃扮した『意地悪ばあさん』のイメージが強く、都知事の頃の一旦縮こまっていた勢いを回復し、老境からの元気溌剌な様子を勝手に思い描いていただけに、とても残念。「スーダラ節」「無責任一代男」といった“反体制ソング”作家としても在野感が溢れ、日本国最後と言われる国葬が執り行われた1967年10月の吉田茂首相死去の際、ソレに伴いTV番組がことごとく喪中モードにあった中、青島幸男の『意地悪ばあさん』だけは何故か放送休止とならなかったことを思い出すに、同氏の反骨パワーは半端じゃない、とあらためて思う。

ジョセフ・バーベラ氏。12月18日に95歳で死去したアメリカのアニメーション作家。ワタシの年齢一桁から10代の頃は、同氏とウィリアム・ハンナにより設立されたハンナ・バーベラ・プロダクション放つ数多くのTVアニメに、それこそ日々“漬かって”いた。ひょっとして、手塚治虫や赤塚不二夫の作品接触度に匹敵するかも知れない。定番『トムとジェリー』をはじめ、珍犬ハックル、クマゴロー、原始家族フリントストーン、ドラ猫大将、宇宙家族ジェットソン、突貫カメ君、Jonny Quest(JQ) 、スーパースリー、宇宙怪人ゴースト、チキチキマシン猛レース・・・ 懐かしさとともに、その多作ぶりにあらためて感服。そして、かの坂本九唄うジョニー・クエストの主題曲をン10年振りに思い出してしまった。

B00008kku609_aa240_sclzzzzzzz_1アニタ・オデイ。11月23日に87歳で死去したアメリカのジャズ・シンガー。ワタシの生まれた年に録音された彼女の代表作『Anita Sings The Most』は、ワタシがジャズに傾倒するきっかけの1枚。30センチLPでも散々聴いたが、CDリマスター盤から流れる、オスカー・ピーターソンやレイ・ブラウンらの御大バックに吹き込んだ骨太のサウンドは、彼女のスウィング感溢れるハスキー・ヴォイスとともに、50年以上を経ても尚、新しさと押し出し感をまるで失っていないのは、スゴイ。

Picture11アーノルド・ニューマン。6月6日に88歳で没した1918年生まれのアメリカの写真家。人物写真では、世界最高の仕事を残した写真家だと思う。大判カメラによりじっくりとした構えで撮影された著名人達のポートレートの数々は、かつてリチャード・アベドンが残したような、言わば直球勝負のスタジオ・ポートレートではなく、写し出された人を、その活動する普段の環境に自然に溶け込ませて、写真作画的な造形美を加え活写した、ワン・アンド・オンリーの作品。彼の来日時に本人に直接頼み込んで入手したサイン入り写真集『ARTISTS』と『One Mind's Eye』は、ワタシにとってバイブルであり、家宝。当時は氏の仕事に心酔し、殆ど追っかけの領域。

宮島夕子さん。今年2月中旬に不慮の死を遂げたフリーカメラマン。享年30歳。長崎県平戸の崖から転落死し、死後数日経った19日に冬の海で漁師により発見されたというニュースは、TVや週刊誌でも大きく採り上げられた。ワタシは嘗て仕事で彼女と数度ご一緒した縁があり、その一報は俄かには信じられなかった。朝日新聞社の契約カメラマンだったことで、今も彼女の撮った温かみに溢れる記名入り写真をネットで見ることができるが、何度か取材に同道した際の、そつがなく、取材現場を明るい雰囲気に包みながら、テキパキと写真を仕上げていく様子が思い出される。素敵な絵を瞬時に創ることのできる感性を持った、得難い写真作家だったと思う。

今年鬼籍に入った、想いに残る多くの人たち。無論、直接接点のあった人は殆どいないが、一人一人の名前は、その“仕事”とともに鮮やかにココロに刻まれている。

松本竜助、アイ高野、ジーン・ピットニー、加藤芳郎、ウィルソン・ピケット、ジャッキー・マクリーン、今村昌平、岩城宏之、エリザベート・シュヴァルツコップ、デューク・ジョーダン、ジェイ・マクシャン、はらたいら、丹波哲郎、内山田洋、斎藤茂太、実相寺昭雄、多々良純、関敬六、橋本龍太郎、曽我町子、岡田眞澄、伊福部昭、三浦敬三・・・
合掌。。

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コメント

え~っ今年亡くなった方たちってこんなにいたんですね!?ビックリ・・・‘This is Anita’は私が生まれて初めて聞いたJAZZのアルバムでした。初めて聞いたときは、これが本当に良いかどうか!?正直よくわからなかったのですが、なぜか!?このアルバムの不思議なSwing感とフェイクにはまり、今までで一番聞いたアルバムですよ!その頃その歌のフェイクが凄いとか、フェイクという言葉さえも実は知らなかったのにねぇ!!(笑)TSUTAYAに行くとエラとアニタ位しかずら~っと並んでいるVocalistはいないですものね~。あらためてアニタの凄さに驚かされたのです!いいものは何十年経っても残っていくのですね~♪

投稿: りゃんこ | 2006.12.26 10:41

「This Is Anita」も素敵なアルバムですよね。“Who Cares?”なんか、彼女らしいswing感あふれていてとてもイイです。
そう。ワタシもりゃんこさんとまったく同じ。「Anita Sings The Most」を初めて聴いたとき、「なんだこの音楽は!」と思い、よくわからなかったですが、何度も聴いているうち、何故か「中毒」になりました。とくに、アニタ・オデイの声と唄い方はそれまで聴いたことのなかった大人っぽさで、ハタチそこそこの若僧にとって、何だか「ヤバイものを聴いてしまった」みたいな妙な感覚にとらわれたのを思い出します。
大学の頃「バックの演奏がいいからとにかく聴いてみろ」と大学のジャズ研でサックスを吹いていた友人に勧められて初めて買ったジャズレコードがこの一枚ですが、その時勧められて入手したのが、エロル・ガーナーの「CONCERT BY THE SEA」、チャーリー・パーカーの「NOW'S THE TIME」、バド・パウエルの「ジャズ・ジャイアント」と「バド・パウエルの芸術」などなど。今考えると、クセ玉投げまくりの、50年代の濃い名盤ばかりでした。

投稿: zap | 2006.12.27 10:01

「ストローワラの情報交差点」に「2006年に亡くなった人々」というのがあります

http://www.d4.dion.ne.jp/~warapon/

投稿: 赤壁周庵 | 2006.12.29 09:27

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