コダックがつぶれたワケ。
カメラ小僧にとって、コダックの黄色のパッケージは羨望のマトだった。 無け無しの小遣いの中、カラースライドでキメたいときは、「エクタクローム」や「コダクローム」をカメラに詰めると、それだけで写真が巧くなったような気分にさせてくれた。 モノクロフィルムも「トライX」の高性能が光った。 高感度でありながら粒状性と精細度が高く、同社の現像剤「D76」で指定どおりの処方で現像すれば、ヌケの良いとてもプリントし易いネガ原版が得られた。 コダックは、常に写真業界の最先端を拓き、そんな一級品の数々を全世界に100年以上にも渡って供給し続けた。
ところが、フィルム事業に集中し過ぎたことがアダとなり、デジタル技術で完全に置き換わった映像市場で孤立し、破産法を申請し倒産した。 皮肉にも、デジカメを発明した当のコダックが、企業変革に失敗したことになる。
コダックは「フィルムを使わせる仕組み・仕掛け作り」にも長けていた。 現像ラボ装置、指定処方の薬品、独自規格のフィルム開発やそのライセンスビジネスといった普通にはあまり見えないゾーンへの注力に加え、「エクター」といった写真スタジオ向けレンズや、「レチナ」に代表されるアマチュア向けのコンパクトカメラは、その高い品質において、コダックのブランドを支えるに充分なポテンシャルを持っていた。
ただ、本業のフィルムにこだわるあまり、成長の芽となる事業を手放し、品質で追いつく富士写真フィルムなどの日本のライバル会社を提訴劇で抑え込もうとするなど、なり振り構わず“保身”に走り、結局チカラ尽きた、ということなのだろう。
コダックが疲弊する中、日本のカメラメーカーは圧倒的な高品質で世界を席捲し、「フジ」や「サクラ」の国産フィルムメーカーは、いち早く本業から舵を切ってその強みが活きる新事業や多角化で、変革の波を乗り切っている。
英和辞典にも載っている“Kodak”。 カメラファンの思い出にしか残らないブランドとなってしまっては、本当に惜しいのだが。
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